こんにちは、風見です。
今回は「高配当株投資が下火になっている今、VYMとSPYDどちらに投資をしたらいいのか」というテーマでお話ししていきたいと思います。
というのも、先日このような質問を頂きました。
コロナショック以降、Saasを中心としたグロース株が好調な一方で、いわゆる高配当株投資は厳しい状況にあります。
個人的には短期的な視野にならずに、長期的にコツコツ配当再投資によって株数を増やしていこうと考えています。
1点質問です。
高配当株投資としては個別株の方が利回りは高くなりますが、無配化リスクを考えるとETFでの投資を第一候補としていますが、VYMに投資をするかSPYDに投資をするかで悩んでいます。
風見さんならどちらに投資をするでしょうか。
投資は最終的に自己責任ということは重々承知していますが、ご意見頂けると幸いです。
このような内容です。
今回はこの質問に対する私の意見をご紹介していきたいと思います。
今回の記事は
- 「VYMとSPYDの概要や特徴を知りたい」
- 「VYMとSPYDのメリット・デメリットが知りたい」
- 「今、どちらの高配当株ETFに投資すれば良いか知りたい」
といった方に有益な情報だと思うので、ぜひ最後までお付き合い下さい。
最初に簡単に自己紹介させて頂きます。
わたしは給与所得を全世界株式への投資に回して、一部を米国株式ETFや個別株に投資しています。
ポートフォリオのざっくりとした内訳はこの円グラフの通りです。
個別株にも投資をしていますが、基本的にはインデックス投資を主軸においた運用をしています。
今回の記事で紹介するVYM、SPYDにも実際に投資をしています。
目次
高配当株ETFのVYM、SPYDとは
先ずは、高配当株ETFであるVYMとSPYDのの概要を共有しておきたいと思います。
VYM|バンガード・米国高配当株ETF
先ずは、VYMの概要をお話しします。
VYMは正式名称をバンガード・米国高配当株式ETFといいます。
設定日は2006年で同じ高配当ETFであるHDVの2011年やSPYDの2016と比べると古いETFで、リーマンショックを経験している珍しい高配当ETFです。
ベンチマーク指数はFTSE•ハイディビデンド•イールド•インデックスで、簡単にいうと大型株の中から予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄で構成されているETFです。
純資産は263億ドルとなっており、同じ高配当ETFであるHDVが57億ドル、SPYDが20億ドルなので設定日が最も古いこともあり、ETF純資産額としてはぶっちぎりでTOPです。
経費率は0.06%となっており、日本で買えるメジャーな投資信託と比べるとかなり低い経費率だと言えます。
配当利回りは通常時は約3%でSP500連動ETFであるVOOが1.88%なので、市場平均を上回る配当利回りとなっています。
組入銘柄数は約400銘柄となっており、HDVやSPYDの70−80銘柄と比較するとかなり多く組み入れています。
400銘柄とかなり分散度が高いにも関わらず、市場平均よりも1ポイントほど配当利回りが高いのは非常に魅力的だと思います。
VYMの特徴としては次の2点が挙げられます。
高配当ETFの中で唯一リーマンショックを経験済み
1つ目はVYMは2006年設立なので、高配当ETFの中で唯一リーマンショックを経験している点が特徴として挙げられます。
配当株で不労所得を狙っている投資家にとって一番怖いのは減配リスクです。
100年に一度と言われるリーマンショックの際にどのような動きをしたかを知れることはメリットだと思います。
VYMの分配金はリーマンショック前後で1.56ドルから1.08ドルと約30%も下落しましたが、その後、2019年までの間で2.7ドルにまで成長しています。
配当利回りは2009年3月の6.29%が最高で、2011年の2.45%が最低の数値です。
リーマンショック級の暴落が来ると株価は下落し、分配金も下落しますが、その分配当利回りは上昇して、旨味は増します。
さらにその後も株価だけではなく、分配金も増配を続けた実績があることから、信頼できるETFだと言えるかなと思います。
大型株の中から高配当の株を選別
2点目の特徴としてはJohnson&JohnsonやP&G、Intelなどの日本でもお馴染みの超優良銘柄で構成されており、米国だけでなく世界を股に活躍している企業が多いことが挙げられます。
SPYD|S&P500高配当株式ETF
次にSPYDの概要を紹介します。
SPYDは世界第3位の資産運用会社であるステートストリート社が運営するETFで正式名称をSPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETFと言います。
設定日は2015年10月となっており、ETFの中ではかなり新しい部類です。
投資対象としてはS&P500の構成銘柄のうち、高配当利回りの上位80銘柄でそれぞれに均等投資しています。
ETFでは時価総額の比重で投資比率を設定しているものが多いですが、SPYDは80社に均等投資をするので基本的には1銘柄の比率は1.25%となります。
純資産は20億ドルと主要な米国ETFの中ではかなり小さい方のETFです。
経費率は0.07%となっており、VOOやVTIといった最低コストのETFと比べるとほんの少し高目ですが、全然許容レベルだと思います。配当利回りは約5%前後です。
米国の平均が約2%なので、高配当ETFというだけあってかなり市場平均よりも高い点が最大の特徴です。
高配当ETFの中でも屈指の利回りの高さ
SPYDの特徴はなんといってもその配当利回りの高さが挙げられます。
株価が下落している現在の配当利回りは5%を超えており、通常時でも4%前後の利回りはあります。
VYMが3%前後、HDVが3.5%前後なので、高配当株ETFの中ではNo.1の配当利回りとなっています。
80銘柄に均等投資
特徴の2点目としては、銘柄の構成が時価総額比率ではなく、約1.25%に均等に構成されている点が挙げられます。
VYMは時価総額比率で、HDVは配当支払い額によって構成比率が決められていますので、上位の銘柄の比率が高くなりますが、SPYDは均等なので、1銘柄がETF全体に与える影響は限定的になります。
VYMとSPYDの性質の違い
このような特徴を持ったETFですが、ここからはVYMとSPYDの違いを3点紹介したいと思います。
- 1点目が構成上位銘柄の性質の違い
- 2点目がセクター構成の違い
- 3点目がパフォーマンス実績の違い
です。
構成銘柄上位の配当信頼度はVYMが高い
先ずは構成銘柄TOP10を見ていきましょう。
VYMとSPYDの構成銘柄TOP10はこの通りです。
高配当株ETFだけあって、それぞれの配当利回りの高さは流石の数値だと思います。
配当利回りの高さという点ではやはりSPYDの構成銘柄の方が平均的に4%以上の利回りがありますね。
一方で連続増配年数を見るとVYMには配当王銘柄2社、配当貴族銘柄2社に対して、SPYDは配当王銘柄1社、配当貴族2社とTOP層の質は同等ですが、やはり配当貴族に達していない銘柄たちの信頼度ではVYMに軍配が上がっていますね。
SPYDは連続増配数がイマイチの企業もそれなりに構成銘柄には入っています。
構成セクターの違い
次に構成セクターの違いを見ていきましょう。
VYMとSPYDの構成銘柄はお互いに偏っており、VYMはヘルスケア、生活必需品セクターの占める比率がSPYDと比較するとかなり高くなっています。
一方で、SPYDは不動産、エネルギー、金融セクターの占める比率がかなり高くなっています。
このセクターだけを見ると足元の環境的にはVYMの方が株価という面で優れたパフォーマンスになっているのがよくわかります。
人の移動が制限されていたり、低金利の状態が続く限りは不動産、エネルギー、金融セクターは残念ながら、しばらくは非常に厳しい時期を過ごすことになると思います。
VYMとSPYDのパフォーマンス比較
それでは次にVYMとSPYDのパフォーマンスを比較していきます。
SPYDが2015年の10月に設定されたばかりなので、少し短い期間での比較になります。
左のグラフは2016年から2020年7月末までの各ETFの投資収益の推移を表しています。
青色のグラフがVYMで赤色がSPYDです。コロナショック以前は比較的好調な市場が続いており、SPYDは設定来VYMをアウトパフォームしていましたが、2020年3月のコロナショックで状況が一変してしまいました。
大型株主体のVYMと比較すると中型株も含み、エネルギー・不動産セクターの構成が大きいSPYDは暴落の影響も大きく、また下落からの回復もかなり遅れてしまっています。
別の動画でも取り上げましたが、SPYDは一時期は構成銘柄が61銘柄に減少し、6月の配当も減配したことからもわかりますが、非常に厳しい時期を迎えていることになります。
VYMとSPYDの強みと弱み
一旦、ここまでの内容を強みと弱みという形で簡単にまとめます。
VYMの強み
VYMの強みはパフォーマンスのところでも見た通り、比較的株価によるリターンと配当利回りの高さのバランスが取れたETFだという点が挙げられます。
VYMの弱み
次にVYMの弱みとしては、高配当株ETFではありますが、そこまで配当利回りが高くない点が挙げれられます。
通常時であれば大体3%前後なので、市場平均よりも1ポイントほど高いくらいの利回りです。
SPYDの強み
SPYDの強みとしては、やはりその高い配当利回りが挙げられます。
通常時でも4%以上の配当利回りがあるので、分散投資しつつ、高配当を狙いたい投資家にはぴったりのETFだと思います。
SPYDの弱み
SPYDの弱みとしては、不動産・金融・エネルギーセクターの構成が多いため、今後もしばらくは株価は停滞することが予想される点が挙げられます。
もちろん、長期的にはこれらのセクターもしっかりと成長する時期は来るとは思いますが、ワクチンができて、人々のマインドが元に戻るのは少し先になりそうだと予想しています。
VYMとSPYDどちらに投資するか
それでは、ここまでの内容からVYM、SPYDのどちらに投資をするべきかをお話ししていきたいと思います。
トータルリターン重視
先ず、配当によるインカムゲインを狙いながらも株価によるリターンも含めたトータルリターンを重視する投資家はVYMの方が合っていると思います。
というのも、何度も繰り返しお話ししている通り、SPYDの株価回復はまだ先になりそうで、その間は市場平均よりもトータルリターンという面では大きく劣後することが予想されるからです。
継続的・安定的な配当狙い
次に継続的、安定的な配当狙いの人はVYMがオススメだと思います。
構成銘柄TOP10のところで見た通り、SPYDは連続増配年数が浅い銘柄の構成がそれなりにあります。
一方でVYMは構成上位銘柄が比較的配当にコミットしている企業が多く、また大型株が中心ということもあり、減配に対する危機感も中型株よりも高いと思います。
足元での高い配当利回り
最後に、現時点での配当利回りを最も重視する投資家にはSPYDがオススメです。
投資した瞬間から配当利回り5%超えというのはETFとしては非常に優秀なレベルです。株価が回復したときには、今が絶好の買い場だったとなるような水準だと思います。
ただし、バリュー株投資の感覚で割安っぽいから投資するというのは、あまりオススメしません。
バリュー株感覚の人はインカムというよりもやはりトータルリターンを重視する傾向があるからです。
さいごに
以上、いかがでしたでしょうか。
今回は視聴者様からの「VYMとSPYDどちらに投資をすべきか」という疑問、質問に対する回答として、私なりの意見を紹介させて頂きました。
一概にどちらのETFがいいかというのはないと思うので、今回の解説を聞いて、ご自身の投資方針、考え方に合う方を選んで頂ければと思います。
また個人的には、配当を再投資して資産形成をしていこうという方には投資信託での運用も代案として有力だと思います。
配当は受け取った時点で課税されるので、複利という面では少し不利です。
投資信託で分配金を出さないタイプを選択すれば最も効率よく資産形成ができるので、ぜひ合わせてご検討頂ければと思います。
以上、最後までお付き合い頂きありがとうございました。
それでは皆さん、今日も素敵な1日をお過ごし下さい!