今回は「連続増配株ETFであるVIGと高配当株ETFのHDVを徹底比較」というテーマでお話ししていきます。
こんにちは、在宅勤務で筋肉の衰えを感じ始めている風見です。
先日視聴者様からこのような質問を受けました。
米国株で配当を受け取りつつ、資産運用したいと考えています。
というのも、私は株の売買は苦手です。
保有しているだけで利益を受け取ることができるインカムゲインに魅力を感じています。
米国株のETFの中には様々な種類のものがありますが、VIGというETFとHDVというETFがいいかなと思っています。
どちらの方がオススメというのがありましたら、ご意見頂けると幸いです。
このような内容です。
今回はこの質問の内容に答える形で、連続増配株ETFのVIGと高配当株ETFであるHDVについて比較解説していきます。
- 「VIG・HDVの概要や特徴を知りたい」
- 「過去の投資リターンのデータを見たい」
- 「今、どちらに投資すべきか知りたい」
こういった方にとって有益な内容になっていますので、是非最後までお付き合い下さい。
最初に簡単に自己紹介させて頂きます。
わたしは給与所得を全世界株式への投資に回して、一部を米国株式ETFや個別株に投資しています。
ポートフォリオのざっくりとした内訳はこの円グラフの通りです。
個別株にも投資をしていますが、基本的にはインデックス投資を中心に運用しています。
HDV・VIGとは?|概要比較
それでは先ずはHDVとVIGの概要を見ていきましょう。
高配当株・HDVとは
それでは先ずは高配当株ETFであるHDVの概要をざっくりと紹介します。
HDVは資産運用額が世界No.1のブラックロック社の商品で正式名称をiシェアーズ•コア米国高配当株ETFと言います。
設定日は2011年と比較的できて間もないETFです。
純資産は57億ドルとなっており、多くもなく少なくもないくらい規模です。
経費率は0.08%となっており、高配当ETFの中でもトップクラスの低さです。
配当利回りは通常時は3.5%前後でSP500連動ETFであるVOOが2%前後なので、市場平均を1〜2ポイントほど上回る配当利回りとなっています。
組入銘柄数は79となっており、銘柄数としては十分に分散できていると思います。
連続増配株・VIGとは
では次にVIGの概要を共有しますね。
VIGは正式名称をバンガード•米国増配株式ETFと言います。
設定日は2006年4月となっており、リーマンショック前にできた割と歴史のあるETFです。
投資対象は米国市場のうち、連続増配10年以上の実績を持つ大型企業が中心となっています。
しかしその中でも増配の可能性が低いとされる銘柄は除外されているため、10年以上の連続増配の実績があっても必ず組み入れられるというわけではありません。
純資産は420億ドル、日本円では4兆5千億円ほどで海外ETFでもTOP20位に入るほど大きいETFです。
経費率は0.06%となっており、HDVよりも0.01ポイントではありますが、より低コストのファンドです。
配当利回りは直近12カ月平均で約1.9%前後と高配当というわけではなりません。
組入銘柄数は229銘柄となっており、十分に分散した投資ができます。
HDVとVIGに共通する強み
米国株ETFであるVIGとHDVの概要は共有できたと思うので、次にこの2つのETFに共通する点を2つ紹介します。
配当にコミット
共通点の1点目としては、当然ではありますが、2つのETF共に「配当にコミットした」ETFである点が挙げられます。
「配当にコミット」していますが、実は中身は少し異なります。
VIGはその名前の通り、連続増配をよりコミットしているETFです。
VIGに組み入れられる銘柄は少なくとも10年以上の連続増配企業に限られるので、減配の可能性が他のETFよりも低いと考えられます。
一方でHDVは連続増配年数は直接的にはあまり影響ありません。
HDVは財務健全性や事業安定性、配当支払い能力などを重視しています。
実際にHDVの配当利回りは3.5%ほどとなっており、高配当を意識したETFだと言えると思います。
低コスト
共通点の2点目としては、VIGもETFも非常に低コストな点が挙げられます。
VIGの0.06%という数値は非常に低いです。
メジャーな投資信託で最も低コストなETFがVTIやVOOなどの0.03%なので、まさに業界TOPレベルの経費率の低さです。
HDVに関しても僅か0.08%と低コストに抑えています。
100万円運用していたとしても600円、800円しか掛からないというのは、もはやあまり意識する必要がないレベルだと思います。
アクティブファンドや銀行や証券会社の窓口でオススメされる投資信託の信託報酬が1%前後だということを考えると、VIGとHDVは非常に良心的な設定だと言えます。
HDVとVIGの違い
それでは次にVIGとHDVの主な相違点を2つ見ていきましょう。
銘柄構成比率の決め方
先ず1つ目の相違点としては、銘柄の構成比率を決める際の手法が挙げられます。
VIGは一般的な時価総額加重平均という方法を採用しています。
例えば選定基準をクリアした銘柄が2社あり、それぞれの時価総額がA社が60億円、B社が40億円の場合はVIGのポートフォリオに占める比率はA社が6割、B社が4割となります。
これは多くの指数に採用されている最も一般的な方法の一つです。
有名なところで言うとS&P500やTOPIXが時価総額加重平均で構成銘柄の比率を決めています。
一方でHDVはスマートベータETFと言われています。
時価総額加重平均ではなく、配当支払い総額加重平均と言われる手法で構成銘柄の比率を決めています。
つまり、配当の支払い総額が大きい銘柄ほど比率が高くなります。
よって、必ずしも時価総額が大きい会社の方が構成比率が高くなるわけではありません。
配当利回り
相違点の2点目としては配当利回りの高さが挙げられます。
VIGの12カ月平均の配当利回りは2%前後、HDVは4%前後となっています。
この2つのETFは配当にコミットしているというところは共通していますが、配当の何にコミットしているかというのが、実は全く異なります。
VIGは少なくとも10年以上連続増配していることが条件になりますが、HDVは連続増配年数自体には制限がありません。
一方でHDVは相違点の1つ目で話した通り、配当支払い総額の大きさが構成比率を決める要因となり、必然的に高配当の銘柄が全体に占める比率が高くなります。
結果として、VIGは市場平均ほどの配当利回りでHDVは市場平均を大きく上回る利回りとなっています。
セクター構成
それでは次にセクター構成を見ていきましょう。
セクター構成はこの表を見てお分かり頂ける通りかなり差があります。
大きく異なるポイントとしては3点挙げられます。
最も大きな差としては、エネルギーセクターでVIGはエネルギーセクターを含みませんが、HDVは20%ほどとかなり高い比率で組み込まれています。
銘柄で言うとエクソンモービルやシェブロンが非常に大きな割合を占めています。
その次は通信セクターも10ポイント以上の差があります。
HDVはAT&TやVerizonが主力銘柄として支えています。
3点目のポイントは情報技術セクターです。
VIGが14%ほどあるのに対して、HDVは6%と比率がかなり小さいです。
VIGはマイクロソフトやVisaが構成銘柄TOP10に入っています。
VIGにはおそらく今後はAppleも組み入れられることになると思うので、そうなれば益々情報技術セクターの比率が高まることが予想されます。
投資収益比較|連続増配vs高配当
それでは次にVIGとHDVのパフォーマンス差を見ていきます。
左のグラフは2012年からのVIGとHDVの投資収益の差を表しています。
青色の折れ線グラフがVIGで赤色がHDVを表しています。
このグラフを見て明らかなように特に2017年以降にHDVのパフォーマンスはVIGに劣後していきました。
この期間の年率平均リターンでいうとVIGが12%、HDV8.5%となっており4ポイント近く差が出ている形です。
要因としては、HDVのエネルギー・通信セクターのパフォーマンスが全体の足を引っ張っている一方で、VIGの情報技術セクターが全体を底上げしていることが挙げられます。
好調だったセクターがVIGに、不調だったセクターがHDVに固まった結果、ETF全体でもここまでの差が出てしまいました。
特に2020年8月現在はコロナショックの影響でエネルギーセクターが低調に推移していることも大きな要因となっています。
一方で右側のグラフは配当支払いの推移を表していますが、これを見るとやはりHDVの方が安定的にインカムゲイン面では貢献していることがわかります。
ただ、トータルリターンという面ではVIGに軍配が上がっている形ですね。
配当支払い実績
トータルリターンではVIGに軍配が上がりましたが、もう少し配当に焦点を当てて深掘りしてみましょう。
この表は2012年からのVIGとHDVの1株当たりの配当支払い実績です。
VIGは連続増配にコミットしているため、2012年から2019年にかけて配当額は151%にしっかりと成長しています。
一方でHDVも実は増配は頑張っていて、2012年からの増配はVIGを若干上回っており、2012年比で153%となりました。
高配当を維持しつつ、しっかりと増配も連続増配ETFに負けないレベルで実施してきたというのは、配当にフォーカスを当てている投資家には心強い点ではないでしょうか。
HDVとVIGのどっちが良いか
それでは、最後に「VIGとHDVのどちらがいいのか」という点を話しいきますね。
先ず、配当にコミットしつつもトータルリターンを重視したい投資家はVIGへの投資が良いと言えます。
VIGは配当利回り自体は高くありませんが、パフォーマンスのところでみてきた通り、トータルリターンはHDVを圧倒しています。
特にセクター構成の箇所で情報技術セクターの比率が大きいので、今後もしばらくは高パフォーマンスが期待できると予想します。
また歴史的に連続増配銘柄は下落局面で強いというのもVIGのメリットだと言えます。
今回のコロナショックでもVIGは市場平均よりも下落幅を抑えていた点も評価できるポイントです。
一方でトータルリターンが劣っているHDVには投資するべきではないかというと一概には言えないかと思います。
配当実績のところでも見た通り、HDVはコンスタントに高い配当利回りと高い増配率を維持してきました。
トータルリターンではなく、配当をより重視した投資をする人はHDVへの投資も選択肢に入ると思います。
またHDVは今回の株価下落の影響を最も強く受けたセクターのエネルギーセクターを多く含んでいます。
よって、経済活動が通常に戻った時は一定の戻り幅の恩恵も受けることができると思います。
割安性を示すPERを見てみると市場平均が25倍ほどなのに対してHDVは20倍と割安な状態ではあります。
HDVに対してバリュー株感覚で投資をするのは個人的にはあまりオススメはしていませんが、手法の一つではあると思います。
まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。
今回は配当にコミットしているETFの代表的な存在としてVIGとHDVを取り上げ、比較しました。
配当を重視した投資を考えいている方の参考になっていれば幸いです。
今回の内容はあくまで私の個人的な意見なので、私とは考え方が異なる人ももちろいると思います。
ぜひ皆さんのVIG、HDVへの投資の意見などありましたら、コメントして頂けると嬉しいです。
以上、最後までお付き合い頂き有難うございました。
それでは皆さん、今日も素敵な1日をお過ごし下さい!