こんにちは、風見です。先日リタイア後の投資に関するこのようなご質問を頂きました。
老後の投資でNISAを活用すべきか積立NISAを活用すべきか悩んでいます。
老後2000万円問題が話題になりましたが、夫婦二人で4000万円の資金は投資用とは別で確保しています。
このお金とは別に投資用に利用できる資金1200万円を10年後に今よりも少しでも増やしたいと考えています。
この資金を使った投資について、どのような活用方法が考えられるかアドバイスを頂けると幸いです。
このような内容です。
ご質問頂いた方のご夫婦の年齢、それぞれの投資可能額と投資想定期間などをまとめるとこの通りです。
<前提条件>
目的:10年後に少しでも今のお金を増やしたい
前提:老後2000万円問題はクリア済み
質問:NISAor積立NISAどちらで、どのような投資が考えられるか
夫62歳/投資可能金額:600万円/投資可能期間:10年
妻52歳/投資可能金額:600万円/投資可能期間:15年
今回は私がこのような状況に置かれたとしたら、どのような選択をするのかということをお話ししていきます。
老後だけではなく、アーリーリタイアに向けた投資戦略にも参考にできるかと思いますので、最後までお付き合い頂けると幸いです。
目次
結論:リタイア後に投資始めるなら積立NISA
結論ですが、NISAと積立NISAどちらにするかという点について、
私なら積立NISAを活用した投資を考えます。
先日このようなツイートをしました。
👑投資の出口時点では欲を捨て人生と向き合うことが大切
リタイアorアーリーリタイア後の投資はキャッシュインが見込めないので、損をしないことが最重要です📝
生活に必要なお金が十分にある中で資産運用を継続する場合は、投資していることを忘れるくらいが人生を幸せに過ごせると思う☺️
— 風見紘文(かざみひろふみ)/米国駐在・YouTube▶️InvesTube管理人 (@hirofumi_kzm) July 22, 2020
投資の出口時点では欲を捨て、人生と向き合うことが大切。
リタイアもしくはアーリーリタイア後の投資はキャッシュインが見込めない分、損をしないことが重要です。
生活に必要なお金が十分にある中で資産運用を継続する場合は、投資していることを忘れるくらいが人生を幸せに過ごせると思う。
このような内容です。
これが私の考え方です。
今回はご質問者様の質問に対してこの考え方を深掘りしつつ私の考えをお話ししていきたいと思います。
根拠:元本割れのリスク・失敗しないことが最重要
私が老後の資産運用で積立NISAを選択する理由は、リタイア後の資産運用で最も大切だと考えているのが「失敗しない」ことだからです。
リタイアしているということは、基本的には収入は年金のみの状態とになると思います。
年金は普段の生活費に消えていくことになるので、投資用のキャッシュインはないということです。
まだ若く、働いている人の場合は投資で100万円損しようと労働収入でいくらでも取り返すことができますが、収入がない場合は投資収益で挽回することになります。
非常に基本的なことになってしまって恐縮ですが、、
投資元本の100万円が80万円になってしまった時の損失%は−20%となります。
一方で、80万円を100万円に戻すために必要なリターンは+25%となります。
このように
損失によって元本が少なくなればなるほど、損失を取り戻すのに必要な利回りは高くなってしまいます。
では、損失を出さないようにするにはどうすればいいでしょうか。
これは人によりますが、私は買付単価を平均化することだと考えています。
仮に相場が好調で右肩上がりの場合は積立投資をすることで平均単価を上げてしまいますが、右肩上がりの時はそもそも利益が出ているので問題ありません。
一方で相場が下落傾向にある時はコツコツと積立投資をすることで平均買付単価を下げることができます。
結果として元の水準に株価が戻らなくても少しの株価上昇で利益を出すことが可能になります。
相場は基本的には右肩上がりの性質を持っているので、投資期限が定められてなくて、経済的合理性だけを考えると積立投資ではなく一括投資でもいいと思います。
一方で今回のケースだと投資期間が10年なので、失敗しない、損をしないという意味では積立の方が失敗しにくいかと考えています。
投資可能額を使い切らないことへの懸念
今回のケースでは一人当たりの投資可能額が600万円ですが、積立NISAで10年の投資の場合は投資額は400万円となり、投資可能額の全額を使い切らないということになります。
NISAであれば120万円×5年で600万円を使い切れるのに対して、積立NISAの10年では投資可能額の70%未満しか投資しないことになります。
こういった状態だと「投資可能額を全て投資に回さないのは効率が悪い」という意見もあるかと思いますが、個人的には問題ないと考えています。
というのも、
現金は暴落が起こった際に投資可能資産全体の下落のクッション材の役割を果たしてくれる
からです。
通常ならクッションの役割を債権にすることも多いですが、日本国債の利回りは低いので個人的には現金でいいと考えています。
海外国債は為替の変動で大きくブレることから、今回は対象とは考えていません。
「そもそも年金と生活防衛費2000万円があるんだから、クッション材の役割は不要」と考える方もいらっしゃるとは思いますが、冒頭にもお話しした通り、私はリタイア後の投資では効率を求めていません。
より守りの運用で良いと考えている為、このような考え方になっています。
積立NISAの投資対象は
では、肝心の投資対象は何にするかというと、私だったら全世界株式投資信託であるeMAXIS Slim全世界株式オールカントリーに投資をします。
個別銘柄よりもセクター、セクターよりも国、国よりも地域、地域よりも全世界の方が保有していて安心できるからです。
私は今絶好調のアメリカが将来数十年に渡って他の地域と比べて絶対にリターンが劣後しないと確信が持てません。
アメリカですら確信が持てないので、日本やあるセクター、ある個別企業なども当然確信が持てないことになります。
一方で、世界全体で見れば確信を持って今後も成長していくと信じることができます。
人口増加もそうですし、付加価値の増加も今後もますます進んでいくことから、基本的には株式相場は右肩上がりの状態が続くと考えています。
仮にアメリカの成長を何が起こっても全世界よりも信頼できる。という方の場合は、eMAXIS Slim米国株式でも問題ないとは思います。
株式100%の投資はリタイア組には危険か
ただこの話を聞いている方の中には、「いくら全世界でもリターンがマイナスになる可能性はあるし、株式100%のポートフォリオは守りとは言えなくないか」と考える人もいらっしゃると思います。
確かに株式投資は10年間の長期投資であれば、かなり元本割れの確率は減りますが、それでも0とは言えないです。
ただし、仮に10年経過時点で元本割れしている場合は、そのまま積立NISA口座で保有し続ければいいと思います。
最長20年まで保有できますし、利益が出たタイミングで売却してしまえばいいと思います。
最重要:投資していることは忘れよう
以上、ここまでで今回のケースで私なら積立NISAでeMAXIS Slim全世界株式オールカントリーを運用する根拠と考え方をお話ししてきましたが、最後に今回のご相談を受けて個人的に最も大切だと感じたことをお話しします。
それは
投資、資産運用していることは忘れるくらいでちょうどいい
ということです。
投資は目的ではなく手段です。
多くの人の場合はより良い人生を送りたい、その為には十分なお金が必要で、労働収入を賄うためにも投資が必要という感じで投資をしていると思います。
今回のケースでは既に資産形成は終了しています。
リタイアしており、年金に加えて生活防衛費として夫婦それぞれで2000万円問題も解決しています。
ご質問者様も少しでも増やしたいということで何か明確な目標というか、「このために絶対に必要」ということではないので、どちらかというと投資に意識を割いてしまい、日々の生活で値動きが気になったりして、生活を楽しめなくなることの方がリスクになるのでないかなと考えています。
そういうこともあり、今回はNISAではなく積立NISAの方が適切だと考えています。
NISAの場合は買付は手動での買付けになります。
一方で積立NISAは最初に設定さえしてしまえば、あとはすることはありません。
本当に10年後まで忘れていてもOKです。仮に10年後に利益が出ていれば利確して現金化してもいいと思いますし、現金化する必要がないなら、20年後まで放置しておけばいいと思います。
人生100年時代なので、旦那様62歳、奥様52歳という年齢はまだまだ人生の半分です。
余剰資金で資産運用すること自体は素晴らしいことだと思うので、ぜひ失敗しにくい投資を実践していただければと思います。
最後に再度念押しですが、今回は私ならこう考えるというあくまでいち意見をお話ししました。
様々な人の意見や考え方に触れ、ご自身が最も納得できる形で運用するのが1番だと思うので、その点はしっかりと認識頂ければと思います。
私の考えが100%正しいというわけではありません。
以上、いかがでしたでしょうか。
今回はリタイア後の投資方法の一例として、視聴者様から頂いた前提条件で私ならどう考えるかということをお話しさせて頂きました。
皆さんの投資生活の参考になっていれば幸いです。
それでは皆さん、今日も素敵な1日をお過ごし下さい!
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