今回は「投資界の巨匠・レイダリオ氏が提唱するオールシーズンズポートフォリオを徹底解説」というテーマでお話ししていきたいと思います。
こんにちは、「KindlePaperの使い心地の良さに驚いている」風見です。
先日このようなツイートをしました。
👑オールシーズンズポートフォリオの安心感は別格
投資界の巨匠・レイダリオ氏の提唱するポートフォリオはリスクリターンのバランスが絶妙です✨
米国の成長を信じる
暴落時の下落幅は抑えたい
リターンではなく、リスクリターン思考
こう言った方がオールシーズンズPFにオススメだと思います☺️
こういった内容です。
今回はこのツイートの内容を深掘りしながら、オールシーズンポートフォリオの特徴やパフォーマンス実績、強み・弱みについてお話ししていきます。
「最近の相場は過熱感があって怖い」
「現金で寝かせておくのは嫌」
「下落に強いポートフォリオを作りたい」
と言った方に有益な内容になっているので、ぜひ最後までお付き合い下さい。
最初に簡単に自己紹介させて頂きます。
わたしは給与所得を全世界株式への投資に回して、一部を米国株式ETFや個別株に投資しています。
ポートフォリオのざっくりとした内訳はこの円グラフの通りです。
個別株にも投資をしていますが、インデックス投資が中心です。
目次
オールシーズンズポートフォリオとは
はい、それでは本題です。
先ずは今回ご紹介するオールシーズンポートフォリオの概要や特徴についてお話ししていきます。
レイ・ダリオとは?
先ず、オールシーズンポートフォリオを提唱しているレイダリオ氏について、簡単に紹介しますね。
米国株投資をしている人なら知らない人の方が少ないと言えるほど有名な方で世界最大級のヘッジファンドを運営しているファンドマネージャーです。
彼の運用スタイルは「最小のリスクで最大の利回りを目指す」という方針で、2008年のリーマンショック時でも安定した運用結果を残したことで投資家からの信頼をさらに確固たるものとしました。
4つの経済状況とそれぞれに適した投資対象
それでは次にオールシーズンズポートフォリオについて解説します。
オールシーズンズポートフォリオとは、経済がどんな状態だったとしてもリターンを得ることをテーマに設計されたポートフォリオです。
レイダリオ氏は経済を次の4つの状況に要素を分けて、そのどの状態でも対応できることを理想としています。
4つの状況とは
- 経済が成長している時期
- 経済が停滞している時期
- インフレしている時期
- デフレしている時期
の4つです。
それぞれの時期に強いと言われている資産は表の通りです。
この4つの経済状況がいつどのタイミングで来るかは基本的には予測不可能なので、各時期にリターンに繋がる資産・アセットクラスをバランスよくポートフォリオに組み込むことが必要だとしていてます。
そして実際のオールシーズンポートフォリオのアセットバランスは円グラフの通りです。
株式30%、長期債40%、中期債15%、ゴールド7.5% 、コモディティ7.5%
という比率です。
レイダリオ氏自身のポートフォリオは多くのETFで構成されていますが、私たち個人投資家は基本的にはコストの低い最小限の優良ETFでポートフォリオを組むことが望ましいとされています。
現時点で各資産で推奨されているETFは長期債は米国の長期国債に投資ができるTLT、株式は米国全体に投資ができるVTI、中期債がIEF、ゴールドがGLD、商品がインベスコ社のDBCというETFが最適だとされています。
オールシーズンズポートフォリオの特徴とは
オールシーズンズポートフォリオの特徴としては、次の3点が挙げられます。
相対的に株式の比率が低い
先ず1点目が相対的に株式の比率が小さい点です。
債権の比率が55%なのに対して、株式は全体の30%しかありません。
これは株式が値動きの幅が他の資産よりも大きい傾向にあるためです。
特に経済不況のとき、特に〇〇ショックと言われる時期は変動の幅が非常に大きくなってしまう為、リスク低減を目的に比率が小さく抑えられています。
ポートフォリオの大半が債権
特徴の2点目としては債権の比率が大きい点が挙げられます。
債権は株式と比べると値動きがマイルドな傾向がある為、ポートフォリオ全体のボラティリティ低減に効果的です。
特に株式相場が暴落している時は株式と逆相関の値動きをすることで、ポートフォリオ全体での下落を抑えてくれます。
また、長期国債のTLTの比率を高めることで利回りの向上を両立させています。
ゴールドとコモディティを組み入れている
3点目がゴールドとコモディティを組み込んでいる点です。
これらの実物資産はインフレの時に価格が上がりやすい金融商品です。
過度なインフレが発生した時もポートフォリオ全体を底上げしてくれる役割が期待できます。
ただ、後ほど見ていきますが、商品の直近10年間のパフォーマンスがあまり良くない点が個人的には気になっています。
パフォーマンス・投資収益 vsS&P500
ここまでで、オールシーズンポートフォリオの概要や特徴を理解して頂けたかと思いますので、実際の投資リターンを市場平均とされる S&P500と比較しながら見ていきたいと思います。
このグラフは2007年から2020年7月末までのオールシーズンポートフォリオとS&P500の投資収益の推移を表しています。
青色の折れ線がオールシーズンズポートフォリオ、赤色がS&P500の推移となります。
この期間は2008年のリーマンショックをはじめ、欧州債務危機やチャイナショック、アップルショック、コロナショックなどの経済・金融危機がありました。
その度に赤色の折れ線のS&P500は下落を経験していることが分かりますね。
一方で青色の折れ線のオールシーズンズポートフォリオは多少の下落はあっても、S&P500ほどの影響を受けていないことがこのグラフから見て取れます。
この期間の年率平均リターンはS&P500が8.52%だったのに対して、8.14%と0.4ポイントほどリターンは劣後しています。
一方で標準偏差、つまりリスクはS&P500が15.34%だったのに対して、7.38%と約半分のリスクに抑えていたことが分かります。
S&P500はリーマンショックが発生した年は−36.81%のリターンとなりましたが、オールシーズンズPFは−3.25%の下落で抑えました。
あのリーマンショック時にこの程度の下落で済んだことは非常に信頼・安心できるパフォーマンスだったと言えるのではないでしょうか。
下落に対するリターンの効率を示すシャープレシオとソルティノレシオもS&P500を圧倒していることから、最終的なリターンは劣っているものの、リスクリターンのバランスが取れたポートフォリオだと言えると思います。
資産別のリターンとリスク
では、ここで一旦オールシーズンズポートフォリオの各資産別のリスクリターンを分解して見ていきたいと思います。
この表は各資産別の3年、5年、10年間の年率平均リターンとリスクをまとめたものです。
より長期のリターンではやはり株式が13.72%と高いパフォーマンスを残しているということ、また中期債の標準偏差は5.52%としっかりと変動の幅を抑えるという効果を果たしていることが分かります。
一方で商品のリスクリターンを見てみると、リターンは3、5、10年とマイナスリターンとなっており、リスクも常に株式よりも高いリスクだったことが分かります。
商品はもともとインフレ対策の金融商品ではありますが、従来ほど急激なインフレはあまり想定できないということ、直近のリスクリターンのパフォーマンスが非常に悪いことから、商品に割いている比率を債権のTLTに切り替えるポートフォリオを考察していきたいと思います。
パフォーマンス・投資収益② vsS&P500
このスライドはオールシーズンとS&P500の投資収益の推移のグラフに先程のスライドで説明した商品を除いたポートフォリオのパフォーマンスを追加したものです。
このグラフではオールシーズンズ+として黄色の折れ線グラフがそれを表しています。
商品ETFの代わりに長期国債の比率を高めることで、全体のリターンが0.8ポイント以上改善され、S&P500よりも高いリターンとなりました。
また、リスクに対するリターンの効率を示すシャープレシオとソルティノレシオも共に改善されており、結果論ではありますが、商品を抜いた方がリスクリターンのバランスが改善されることが分かりました。
ただ、これは10数年と比較的短期間の商品の不調が要因で、今後も長期にわたって商品を抜くことがプラスに働くことを示しているものではないので、あくまで参考までとして下さい。
オールウェザーポートフォリオの強み
それでは、ここまででオールシーズンズポートフォリオの特徴やパフォーマンス実績をまとめてきたので、ここからは強みと弱みという形でまとめていきたいと思います。
先ず強みに関しては次の3点が挙げられます。
守りに強い
強みの1つ目としては、パフォーマンスのところでも見てきた通り不況時の暴落耐性が強い点が挙げられます。
リーマンショックの時ですら、−3%ほどのリターンで済んだ点は評価できると思います。
リスクリターンのバランスが良い
またリスクリターンのバランスが良い点も強みだと言えます。
純粋なリターンだけではS&P500に劣りますが、投資効率という面では一貫して優れた数値を残してきました。
リターンが安定的(変動の幅が少ない)
また毎年リターンが安定している点も強みだと言えます。
S&P500はリターンの良い年と悪い年の差が大きいですが、オールシーズンPFは毎年安定しており、メンタルを健全に保つことができる点が良い点だと思います。
オールウェザーポートフォリオの弱み
では次に、オールシーズンズポートフォリオの弱みを3つ挙げていきます。
株式(S&P500)100%のポートフォリオには劣る
先ず1つ目の弱みは、純粋なリターンは株式に劣後する傾向があるということです。
特に長期になればなるほど株式のリターンは債権や金にアウトパフォームすることが想定されます。
基本的にはアメリカ経済への依存度が非常に高い
また、資産クラスは分散できていてもアメリカ経済への依存度が高い点は認識しておく必要があります。
アメリカ自体がアメリカ以外の国や地域に対して劣後する期間はオールシーズンズPFの全体のパフォーマンスも劣後することが想定されます。
リバランスがめんどくさい
弱みの3点目としては、リバランスという手間がかかる点が挙げられます。
オールシーズンズPFの要は各資産のバランスです。
リスクリターンを一定に保つためには年に一回ほどのリバランスが必要です。
どんな人におすすめ?
では最後に、個人的にどんな人にオールシーズンズPFがオススメかという点を話していきます。
米国株の成長を信じられる人
先ず大前提としては、やはりアメリカの将来的な成長を信じきれる人だと思います。
デメリット・弱みでお話しした通りアメリカ自体が他国に劣後する期間もくると思います。
その期間もアメリカを信じ切るメンタルの強さが必要です。
下落時の衝撃を抑えたい人
また投資においては下落時の衝撃をなるべき抑えたいという人にもおすすめです。
投資で1番大切なのはメンタルだと考えており、オールシーズンズPFはメンタル面に優しい戦略だと言えます。
リターンでなくリスクリターンのバランスを評価できる人
最後に純粋なリターンではなく、リスクリターン思考ができる、染み付いているという人にもおすすめです。
私たちはどうしても過去の最終的な見込みリターンの高さを重視してしまいがちですが、実際に投資をする時はリスクとリターンのバランスが最重要です。
その点をしっかりと理解できている人には良い戦略だと思います。
まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。
今回はレイダリオ氏が提唱しているオールシーズンズPFについて、特徴や過去のパフォーマンス実績、強みや弱みをお話ししてきました。
数ある投資手法の中でも最も優れた投資手法の一つだと思うので、ぜひご自身の投資の目的や方針などを考慮に入れた上で選択肢の一つとして検討して頂ければと思います。
今回の内容が皆さんの検討する上での参考になっていれば幸いです。
それでは皆さん、今日も素敵な1日をお過ごし下さい!