こんにちは、風見です。
今回は「S&P500だけじゃない。中小型株の魅力を解説」というテーマでお話ししていきます。
先日このようなツイートをしました。
https://twitter.com/hirofumi_kzm/status/1295535878643703808
👑S&P500だけじゃない、中小型株の魅力
最近は大型株が最強過ぎて見過ごしがちですが、歴史的にみて中小型株への投資は魅力的です✨
リターンだけを見ると大型株を上回っていたりします😲
投資は短期だけではなく、長期の成績も確認することで見え方が違ってくることもあります🍀
情報収集は大切ですね☺️
こういった内容です。
今回は大型株、中型株、小型株のそれぞれの短・中・長期的なリスクリターンのデータを紹介しながら、今、どのような投資が考えられるかを考察していきます。
- 「大中小型株の特徴が知りたい」
- 「それぞれのリスクリターンが知りたい」
- 「今、どのような投資が考えられるか選択肢を知りたい」
こういった方に有益な記事になっていると思いますので、ぜひ最後までお付き合い下さい。
最初に簡単に自己紹介させて頂きます。
わたしは給与所得を全世界株式への投資に回して、一部を米国株式ETFや個別株に投資しています。
ポートフォリオのざっくりとした内訳はこの円グラフの通りです。
個別株にも投資をしていますが、基本的にはインデックス投資を主軸においた運用をしています。
大型・中型・小型株の定義や特徴
はい、それでは本題です。
先ずは大型、中型、小型株のそれぞれの定義や特徴を簡単に紹介していきます。
大中小型株の定義はいくつかありますが、今回は最も一般的な時価総額による分類でお話しします。
時価総額ベースでいうと大型株とは時価総額が100億ドル以上、日本円では1兆円以上の時価総額の企業のことを大型株となります。
中型株は10億ドルから100億ドル未満、小型株は10億ドル未満の企業を指すことが多いです。
大型株は売買取引量が中小型株と比べると多いので、比較的安定した値動きになることが多いです。
中型株は大型株よりも値動きが大きい傾向にあり、短中期的に大型株よりもキャピタルゲインを狙いやすいと言われたりします。
小型株は機関投資家があまり参入しておらず、適正価格ではない銘柄が放置されているケースもあります。
いずれも一般論ではありますが、株価の伸び代としては、成熟した大型株よりも時価総額が小さく、企業としての歴史も浅い中小型株の方が大きいケースもあります。
一方で出来高が少なく、短期的な値動きが激しい傾向にあるとも言われています。
皆さん聞いたことがあるかもしれませんが、小型株アノマリーは投資界隈では有名なアノマリーの一つで、小型株で構成されたポートフォリオは市場平均よりも高いリターンを残すというものがあります。
将来への成長期待が大きいことから、このようなアノマリーが生まれたとされますが、実際はどうなのでしょうか。
リスク・リターン比較
ここからは実際の大中小型株の短中長期的なリスクリターンのデータを見ていきましょう。
2015年以降のリターン
それでは先ずは、比較的短期のリターンである2015年からのリターンを見ていきましょう。
今回の検証ではブラックロック社のETFを使って検証していきます。
大型株はIVV、中型株はIJH、小型株はIJRというETFを使っていきます。
IVVは皆さんご存知のS&P500に連動するETFでステートストリート社のSPYの次に大きなETFです。
IJHとIJRについても日本の個人投資家で投資をしている人はあまりいませんが、アメリカではそれなりに人気のETFです何も純資産が4兆円を超えていて、純資産ランキングのTOP20には入るくらいメジャーなETFです。
このスライドの左のグラフは2015年以降の投資収益の推移を表しています。
青色の折れ線グラフが大型株のIVV、赤色が中型株のIJH、黄色が小型株のIJRの推移です。
これを見ると直近2年程は大型株が圧倒的なリターンを出していますね。
特に2019年はNASDAQ100に代表されるような大型ハイテクセクターを中心に異常なリターンを残したことが要因です。
また2020年のコロナショック後の回復局面でも中型株と小型株はショック前の水準には戻りきっていない中で、大型株は一足先にショック前の水準にまで戻っています。
この期間の年率平均リターンを見てみるとIVVが10%なのに対して、IJHが6%、IJRが5%と大型株が中小型株を突き放しています。
また右側のグラフは下落局面での動きを表していますが、これをみるとここ5年間は大型株の方が下落局面にも強かったことがわかります。
下落に対するリターンの大きさを表すソルティノレシオも大型株は中小型株の倍くらいの数値になっているので、この期間は大型株の圧勝と言ってもいいレベルだと思います。
投資家は長期的な目線が大切だということは頭では分かっていますが、心がついて行かずに、こういったリターンを背景に最近の大型株人気に拍車がかかっている状態です。
2001年以降のリターン
では続いて、もう少し長めの期間のリターンを見ていきましょう。
先ほどは2015年以降の5年間のリターンでしたが、今回は2001年からの約20年間の推移を見ていきます。
期間を長くすると実は全く異なる結果になりました。
2001年以降の推移では大型株は中小型株のリターンに大きく劣後してしまっています。
年率リターンは大型株が6.8%、中型株が8.1%、小型株が8.4%という結果でした。
投資の世界ではリスクを意味する標準偏差を見てみると大型株が14%で最もリスクは小さいですが、先ほどと同様にソルティノレシオを見てみると、大型株はわずかに中小型株には劣後してしまっています。
特に2015年以降や2019年以降に投資を始めた方からすると割とびっくりするような成績になっていると思います。
1972年年以降のリターン
それでは次にもっと長期間のリターンを見てみましょう。
左側のグラフは1972年以降の大型株、中型株、小型株のそれぞれのリターン、右のグラフは20年年率平均リターンの推移を表しています。
結果はこの表にまとめている通りですが、今度は中型株がリターンが最も高くなっています。
ここまでの結果を軽くまとめると、短期では大型株、中期では小型株、長期では中型株という結果でした。
2020年のリスクリターン
それでは最後に超短期のリターンである2020年の足元の状況をみてみましょう。
足元の状況は2015年の比較のところで少しお話しした通り、大型株が良いリターンを出しています。
コロナショックなんてなかったかのような水準になっており、中小型株を圧倒しています。
そして、特に小型株のダメージが大きくなっていると言えると思います。
今後の投資|何に投資するか
はい、それではここでこれまでの検証結果を踏まえて、今後の投資を考察していきたいと思います。
過去の短中長期のリスクリターンの結果から、
リターン面では長期的には中小型株が大型株をアウトパフォームする傾向があること。
一方で、リスク面では投資期間に関わらず大型株が最も低リスクでの運用ができることがわかりました。
そして直近5年間及び2020年のリターンで見たとおり、今は大型株が非常に強く、中型株と特に小型株が出遅れている状況です。
実際にPERを比較してみると大型株は25倍、中型株が20倍、小型株が18倍となっており、割安性という指標では最も小型株が割安になっています。
以上のことから、長期的には中小型株のリターンは大型株を上回る蓋然性が高いことを考えると中小型株への投資に旨味があるのではないかというのが私の今回の検証結果です。
皆さんはどのような結論なったでしょうか。
もちろん、
「これまでの大型株と今の大型株はレベルが違って、今後も今のトレンド通り、大型株がアウトパフォームしていく」
という見方もできると思います。
私はそういった意見は否定しません。
また長期のリターンでも中小型株の方が優れていたとはいえ、大型株のリスクの低さを考えると大型株への投資に旨味を見出す投資家も多いと思います。
今回のデータを踏まえて、どう投資をするかは、結局は個々人の判断によりますが、今回は私の見解を共有させて頂きました。
では、実際に私がアメリカ市場に投資する場合はどう投資をするかというと、中小型株のETFを少し買ってみようと思いつつも、基本的にはメインで投資するとすればVTIかなと思います。
というのも、結局は過去のデータは過去のデータであって、これからのリターンを保証してくれるものではありません。
それなら、大型株も中型株も小型株も全てに包括的に投資ができるVTIへの投資が1番安心できるというのが私の見解です。
まとめ
以上、いかがでしたでしょうか。
今回は「S&P500だけじゃない、中小型株も魅力的」というテーマで、短中長期的なリターンの比較から今後の投資について考察してみました。
最後に私がVTIを出したことで、「結局はVTIかよ」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、私がVTIを選択するのは私の投資方針に従ったからです。
皆さんの中にはより長期的なデータでの裏付けがあるなら、「中小型株に投資をする」という方もいらっしゃると思いますし、「より低リスクな大型株に投資をする」という方もいらっしゃるかと思います。
同じデータを見ても解釈の仕方と実際の投資への落とし込み方は人それぞれです。
今回は大型株が最強という最近の潮流に一石を投じたいと思い記事にしました。
皆さんの投資生活の参考になっていれば幸いです。
それでは皆さん、今日も素敵な1日をお過ごし下さい!