世界一わかりやすいマーケティングの本を読了しました。
本書ではマーケティングの定義から各種フレームワークを網羅的に紹介しています。
まさに入門書として、非常に参考になると思います。
本記事は私自身の備忘録のようなもので、書評や解説の類ではないことは予めご承知おきください。
はじめに
マーケティングとは
- 人と人を繋ぐあらゆる駆け引きを説明するもの
お客・消費者・生活者とは
- 「お客」は、その商品・サービスの使用経験者
- 「消費者」は、商品を購入する人(消費したことがあるor消費しようと思っている)
- 「生活者」は、その商品の利用経験や今後利用したいかどういかに関係なく、「そこにいる人」
本書の想定読者
- これからマーケティングを学びたい人
- そもそもマーケティングの定義がよくわからない
- 今後マーケティングが必要となりそうだから、学んでおきたい
- 仕事で成果を出すために学びたい
第1章:マーケティングの基本を知っておこう
4P(企業視点)と4C(顧客視点)
- 今は昔と違って世の中にはモノが溢れている時代なので、作れば売れるというわけではないし、技術・情報の普及スピードの高速化によって差別化も難しくなってきている。
- ただし、決して「モノが売れない時代」ではない。実際にブームや行列は出てくる。
- 多くの人はモノを買いたくないわけではない。
- 買うきっかけやサポートを欲している。
- 情報が氾濫しているので、情報を探したり、判断するのに疲れている。
- では、どのようにしたら売れるのか?決めては何か?それらを整理するときの考え方に4Pがある。
4P:企業側から見たモノ売りの基本要素
- Product(製品)
- Price(価格)
- Place(流通)
- Promotion(販促)
4C:消費者側から見たモノを買う要素
- CustomersValue(価値)
- Cost(コスト)
- Communication(コミュニケーション)
- Convenience(利便性)
モノ不足の時代であれば、4Pでよかったが、モノあまりの現在は、4Cの視点が重要
ニーズとウォンツ
- 人はどういうとき、モノを欲しいと思うのか?
- 売れる商品は、他とどこが違うのか?
- 人が何を求めて生活しているのかを知る必要がある。
ニーズ
- 消費者が「必要性を感じて求めているもの」
- 車であれば、「交通手段」としてのニーズ以外にも、「自分を大きく見せるため」「異性にモテるため」などの本来の用途とは別の要素でのニーズの見落としにも要注意
ウォンツ
- 潜在的なニーズのこと
- 必要性を実感しているのではなく、欲求を持っている状態。その欲求を満たしてくれるものが何かは分かっていない状態
- 商品開発の現場では生活者のニーズに沿った開発がほとんど。ウォンツを見つけることができれば差別化につながる
AIDMA理論
生活者が商品に気付き、欲しいと感じ、購買するまでの流れ
- Attention(注意)…雑誌で新車の記事を見る
- Innterest(興味)…その車が走っているのを見かける
- Desire(欲求)…車のことを知りたくなり、調べる
- Memory(記憶連想・思い出す)…途中の自動車ディーラーに寄る
- Action(行動)…試乗し、見積もりをもらう
購買意思決定プロセス
生活者が購買決定に至るまでに、どのような行動をとるか
- 問題認識:何かを欲しいということに気づく
- 情報探索行動:欲しい商品に関する情報を探す
- 情報評価行動:集めた情報をもとに買うかどうかを評価する
- 購買決定:その商品を実際に購入
- 購買後評価:購入した商品に対する満足や不満足を経験する
上記5段階の中でどこで躓いているかがわかれば対策が立てられる。
認知的不協和の解消
- 自分の行動についての解釈を工夫し、「自己正当化」すること
- 自分の行動や判断が誤りだったことを認めたくないために、良い情報を強調したり、マイナスの情報を無視したりして、真実から目を背けようとすること
セグメンテーションとターゲティング
- ターゲティング:対照を絞り、商品の開発・販売を行うこと
- セグメンテーション:消費者の思考や属性ごとに市場をグループ化すること
生活者へのアプローチの種類
無差別型マーケティング
- セグメンテーションを考慮に入れず、一つのマーケティングミックスで全生活者にアプローチ。
- モノあまりの現在は全ての人を満足させる商品の開発・販売は難しい。
差別型マーケティング
- 各セグメントそれぞれにアプローチ。
- セグメントごとのマーケティングミックスのため、コストがかかる。
集中型マーケティング
- 特定のセグメントにだけ特化して攻める
ワン・ツー・ワン・マーケティング
セグメントの単位が「顧客ひとり」になるイメージ。金融や販売などのサービス業でよく見られる。
価格戦略
原価志向型
- コストに利益を上乗せして決定
- コスト精査が甘いと高価格になりやすい。
- コスト削減をしている他社に勝てなくなる。
競争志向型
- 競争関係にある商品との質の違いを考慮に入れて、価格のバランスを取る
需要志向型
- どのくらいの値段であれば需要があるのかを調べた上で決定
※補足
- 価格設定の背景にあるもの
- 商品の性能や機能の他に、商品から受けるイメージや商品を買う場所の雰囲気なども無意識に考慮に入れている。
- 例)コンビニのコーヒーとホテルのラウンジのコーヒー。
第2章:人はなぜ、モノ・サービスを欲しがるのか
ライフスタイル
- ライフスタイル(=人の価値観や生活基準)を知ることで、誰をターゲットにして、どのような商品を、どのような経路を通じて販売するかが見えてくる。
- ライフスタイルで生活者をグループ化し、特定のグループに向けた商品を開発・販売する。
- ※表面的な行動ではなく、行動の元となっている考え方や価値観を深ぼることが重要。
イノベータ理論
- イノベータ:新製品に最初に飛びつくマニア的な人
- アーリーアダプター:流行の最先端が好きな人
- フォロワー:周りの人から勧められたり、使っている人が主流になってから購入する
(アーリーマジョリティ→レイトマジョリティ→ラガード) - 商品がどの段階にあるのかを分析し、理解することで、打ち手が変わる
ブランド
- ブランドとは人が企業や製品に対して持っている付加価値(良いイメージ)
- ブランドを認識してもらえていると高い価格であっても選んでもらえる可能性は上がる
- 売り手と買い手が商品の良さを共有して初めて商品が売れる。
- ブランドは共通のブランド認識を持つにとの間で通用するもの。
- supremeを知らない小学生にとってsupremeの価値は他の製品と変わらない。(認識がないから)
- ブランディングとはブランド力を強化する取り組み
理性と感覚
- 人は必ずしも具体的な効果を期待して商品を買っているわけではない。
- 合理的な理由がなくても、気持ちが納得できればお金は払う。
例)厄払い、お葬式など
理性
- 「必要と感じる」
- 「必要とは感じていない」→必要性を認識させる施策
- 「ない方がいい」→マイナスの状態を脱する為には、物理的障害の除去が必要
感性
- 「欲しいと感じる」
- 「欲しいとは感じていない」→欲しいという気持ちを喚起する
- 「欲しくない(嫌悪感)」→マイナス状態を脱するためには、心理的障害を取り除く必要がある
理性と感性を刺激する
- 好奇心・ワクワクさせる
- 感動・体験を売る
- 希少性
- 好意
- 社会的証明
- リスク強調・危機感
- 情報の非対称性:専門家である売る側と買う側が持つ情報量に大きな差がある状態
- 情報が膨大になった今は、少しでも簡単に、効率よく判断しようとしている。
- よく考えて判断するのではない。
- 無意識に6つの影響力やブランドが判断材料になっているケースが多い。
パレートの法則
- 顧客全体の20%が総販売金額の80%を占めている
第3章:モノを売り、サービスを提供するための環境作り
ライフタイムバリュー(LTV)
- 一人の顧客が障害を通じて利用する金額(=価値)の合計
プロモーション戦略
- 購買に至るまでのきっかけなどの販売促進
プロモーション・ミックス
プル型:消費者を商品、サービスに引っ張るアプローチ
- ピーアール(PR)Public Relations
- 広告(AD)Advertisement
- 販売促進(SP)Sales Promotion
プッシュ型:企業側が消費者に対してアプローチ
- 販売促進(SP)SalesmanPromotion
- 人的販売 Sales
ネーミング
- 意味伝達力
- 商品特性:(どのような商品なのか)をすぐにイメージできるか
- 視覚力:パッケージなどに表示したときに、視覚的に訴える要素はあるか
- 音感:一度聞いただけで覚えられるか、発音しやすいか
チャネル戦略
- 販売チャネルとは生産者と生活者の隔たりを埋める小売などの機能
チャネル戦略の種類
- 開放型の流通
- 閉鎖型の流通
ファイブ・フォース・モデル
- 会社を取り巻く産業構造を理解する
- 業界内での立ち位置に応じた戦略
- 現在の業界内における競走環境:同じ業界内での競合他社との関係変化
- 新規参入業者の脅威:現在は、競合関係にない企業が新規参入してくることによる脅威
- 代替品の脅威:現在、提供している商品の代わりとなる商品が出てくることによる脅威
- 買い手の交渉力の変化:商品の購入者が持つ値段への影響力の変化
- 売り手(供給業者)の交渉力の変化:商品材料の供給業者が持つ、値段への影響力の変化
4つの競走地位別戦略
- 業界内の競走地位に応じて取るべき戦略
リーダー
- 量的・質的経営資源で優れている企業
- 業界の将来を考えて先頭を走る
チャレンジャー
- 量的経営資源には優れるが、質的経営資源がリーダーに対して相対的に劣る。
- 特定のジャンルで一位になることを目指す。
ニッチャー
- 質歴経営資源には優れるが、量的経営資源がリーダー企業に対して相対的に劣る。
- リーダーが興味を持たない限られた分野で優れた技術力を発揮。
フォロワー
- 量的・質的経営資源が劣る企業。
- リーダーやチャレンジャーが成功した路線を模倣することでコストダウンを図る。
SWOT分析
- Strength(強み)
- Weakness(弱み)
- Opportunity(機械)
- Threat(脅威)
事業戦略
- 積極的構成戦略(S・O)
自社の強みを活かして、どのような事業機会をとり込むことができるか - 段階的施策戦略(W・O)
自社の弱みによって機械を掴み損ねないか、それをどう防ぐべきか - 差別化戦略(S・T)
自社の強みによって脅威を回避できるか
他社にとっては脅威でも、自社の強みで差別化要因にすることはできないか - 専守防衛or撤退戦略(W・T)
自社の弱みに対して、脅威はどのような影響を与えるのか。
それを防ぐにはどうするべきか。
第4章:販売のための技術向上テクニック
ドア・イン・ザ・フェイス
- 初めに相手が確実に拒否するような要求を出す。相手が拒否したら、小さな要求(実は受け入れてもらいたかった要求)を出す。
- 「コントラストの原理」実際の価格よりも安く感じる
- 「返報性の原理」譲歩してもらったと感じる
- 「一貫性の原理」自分が交渉をリードした感じ、内容に責任感を感じる
フット・イン・ザ・ドア
- 受け入れやすい「小さな要求」からはじめ、次はそれに関連した大きな要求を出す。
- 「一貫性の原理」同じような要求に対して一貫した対応を取る必要を感じる
ローボール・テクニック
- 相手が受け入れやすいボールから投げて、次第に難度の高いボールを投げるとキャッチしやすくなる。
- 例)電気屋さんに行き、カメラの購入を決めて店員に話しかけると、レンズを買わないと意味がないと言われ、追加で1万円支払う。
- 「一貫性の原理」一度購入を決定すると、後から若干条件を悪化させても、自分の選択肢を支持し、たった今自分が決めた判断を正当化しようとする
ザッツ・ノット・オール
- はじめから特典を含めて値段を提示するよりも、後から特典を紹介していく方が客を惹きつける。
- 例)通販番組の最後に本体に加えて、「これも付けます」というの
「返報性の原理」特典をつけてくれたと感じる
「知覚の変化」お得な特典が付くことで本体が安いと感じる
広告・宣伝の基本「メッセージ」
ポジティブに表現する
- ネガティブ・マイナスに感じるようなことでも、反対から表現することでポジティブな印象にすることができる
- 例1)未熟な→若々しい・新鮮な・これまでにない
- 例2)古くさい→渋い・落ち着きのある・伝統的な
条件を変える
モノを買うときに、最後に背中を押してあげる方法
- 日常とは違う自分を許すメッセージ
今日だけは贅沢をゆるされる(給料日・華金など)
今日は特別な日(正月・クリスマスなど) - 位置や場所を理由にするメッセージ
せっかくここまで来たんだから
ここでしか手に入りません - 決めていいことを分離
第一ステップとしては、、、 - 有利な条件を集める
- 範囲を狭くする
「地域No.1」「〇〇部門No.1」 - 範囲を大きくする
「世界第〇位」「業界シェア〇〇%」 - 時間をずらす
「将来の主流はこちらの規格だと言われている」「2000年度に日本1位」 - 条件を加える
「業界視聴率No.1」条件を加えることでライバルを対象外に - 比較の順番を入れ替える
「お好きなメーカーは?→そのメーカーのシリーズはこちらです」 - 二つの条件を提示する
「後部座席の居住性はよくないですが、だからこそこのフォルムが実現しました」 - 新しい評価軸を提案
生活者の頭の中にあるものとは、違った評価の視点を提案する
電気自動車・・・環境に優しいという評価軸
無意識95%・意識5%
- 人の思考の割合は95%が無意識にされている。無意識への誘導が効果的
- 例)「この商品は残り二つしかない」→「人気があるのかも」「今逃すと手に入らないかも」