こんにちは、風見です。
今回は世界最大規模の投資運用会社である米国株ブラックロック社の銘柄分析をしていきたいと思います。
ブラックロック社に関して、先日このようなツイートをしました。
👑ブラックロックは世界最大の投資運用会社です
🔽BLKの強みは
・市場自体が安定成長見込み
・業界TOPの運用規模
・高収益による積極的な株主還元
などがありますシクリカル銘柄なので、景気の影響をモロに受けてしまいますが、長期的には安心して保有していられる銘柄です☘
お気に入り銘柄です☺️ pic.twitter.com/82MZc8X6y3
— 風見紘文(かざみひろふみ)/米国駐在・YouTube▶️InvesTube管理人 (@hirofumi_kzm) July 21, 2020
ブラックロック社は世界最大の投資運用会社です。
ブラックロック社の強みは、
- 市場自体が安定成長見込みであること
- 業界TOPの運用規模を誇ること
- 高収益を背景とした積極的な株主還元
などが挙げられます。
シクリカル銘柄なので、景気の影響をモロに受けてしまいますが、長期的には安心して保有していられる銘柄です。
私のお気に入り銘柄です☺️
このような内容です。
今回の記事では、私がこのように考えているバックグラウンドをデータを用いて共有していこうと思います。
記事構成としては、会社概要・市場環境・競争環境の共有、2009年以降の業績振り返り、S&P500と比較した投資収益の振り返り、投資判断といった順番で解説していきます。
皆さんの情報収集の参考になると思いますので、ぜひ最後までご視聴下さい。
最初に簡単に自己紹介させて頂きます。
わたしは給与所得を全世界株式への投資に回して、一部を米国株式ETFや個別株に投資しています。
ポートフォリオのざっくりとした内訳はこの円グラフの通りです。
個別株にも投資をしていますが、基本的にはインデックス投資を主軸においた運用をしています。
目次
ブラックロック会社概要
はい、それでは本題です。
先ずはブラックロック社の会社概要を簡単に紹介します。
ブラックロック社という社名は聞いたことがない人もいるかと思いますが、投資をしている人にとってはとても有名な会社です。
ブラックロック社は「iShares」シリーズのETFが有名なアメリカの資産運用会社です。
代表的なETFの例を挙げると、S&P500に連動するIVVや高配当株のHDVが日本人には特に馴染みがあると思います。
ニューヨーク証券取引所だけでなく、東証にもETFを上場させており、世界24カ国以上で展開しています。
ブラックロック社は1988年にローレンス・フィンクス氏によて設立され、1991年に社名が現在のブラックロックになりました。
その後、買収や合併などを経て今に至っています。世界最大級の運用会社なので、もっと歴史のある企業かと思っていましたが、意外と設立から30年あまりとそこまで歴史のある企業ではりませんね。
ただし、後ほど見ていきますが、資産運用業界ではバンガード社、ステートストリート社と共に世界三強になっており、ブランド力があり非常に安心感のある企業です。
ブラックロックを取り巻く資産運用業界の市場環境
では次に市場環境を見ていきたいと思います。
このグラフはグローバルでの資産運用業界の運用額推移を表しています。
2004年には37兆ドルだった運用額が2020年現在では100兆ドルを超えているとされています。
過去10年間は堅調な市場環境のもとで、年率7%以上の市場成長を見せてきたことが分かります。
また今後も低金利や持続的なGDP、経済成長が前提ではありますが、安定的な市場拡大が予想されています。
市場としては今も昔もやはり北米が最も大きくなっていますね。
金融リテラシーが高く、市場の成長に合わせてしっかりと富を蓄積させているのは、今の強いアメリカを作った要因の一つになっていることは間違い無いと思います。
一方で日本はまだまだ投資への理解が足りておらず、資金を寝かせてしまっている状況です。
保険は多いですが、個人の資産を効率よく、安定的に成長させるための教育が必要だなと感じています。
競争環境(バンガード・ステートストリートと競合)
それでは次に競合環境を見ていきましょう。
この表は2018年年末時点での運用資産規模トップ10です。
これを見るとブラックロック社とバンガード社が頭一つ抜き出る形で2強の位置づけになりますね。
ブラックロック社は2009年以降、10年連続で運用資産規模ランキングのトップを維持し続けています。
またバンガードとステート・ストリート社も5年連続でトップ3に入っています。
個人的な感覚的にはパッシブ運用ファンドは特にバンガード社が低コストのリーダー的な位置づけにいる印象ですが、アクティブやオルタナティブ含めてブラックロックは良い立ち回りで1位を維持しており、世界最大規模の運用会社と言えます。
これは資産運用をしている人ならお分かり頂けると思いますが、ETFの乗換は正直あまり気が進まないですよね。
経費率が多少バンガード社の方が低くても、利益への課税や売買に伴う手数料、売却と買付タイミングの差によるコストなどを考えると、積極的に乗り換えようとは思いません。
現時点での運用資産額が大きいというのは非常に大きなアドバンテージと言えると思います。
こういったファンドマネジメントは運用額が大きくなればなるほど、経費率は抑えられますので、そういった意味でもブラックロック社は有利な位置にいると思います。
3位以下の運用会社に対しては圧倒的に有利な位置にいると個人的には考えています。
以上、ここまででブラックロック社の会社概要、市場環境、競合環境を紹介しました。
ブラックロック社の業績振り返り
では、ここからは2009年以降の業績推移を見ていきたいと思います。
過去10年のBLK売上高・利益
それでは、先ずはリーマンショックからの回復期である2009年からの売上•利益、原価・利益構成を見ていきたいと思います。
左側のグラフは青色のグラフが売上高、オレンジが利益、灰色の折れ線グラフが利益率の推移を表しています。
2019年の売上高は約145億ドル、日本円では約1.5兆円の売上高を記録しました。
売上高の推移を見てみると2009年はリーマンショックの影響もあり売上高が落ち込んでいましたが、それ以降は堅調な相場により資金流入が業績を後押しし、年率6%前後と安定的に増収傾向が続いています。
最近は利幅の少ないパッシブ運用が主流になりつつある中でもスケールメリットを生かした効率的な経営により、営業利益率は40%前後になっています。
同じ金融業のバンク・オブ・アメリカやウェルズファーゴ、JPMorgan Chaseと比べると非常に高い利益率になっています。
主な収益源は投資信託やETFなどの信託報酬なので、大きな経費は人件費となっており、特に投資も必要が無いため、高い利益率を確保できています。
リーマンショック時ですら28%の利益率なので、非常に優秀なビジネスの仕組みを確立できていますね。
運用資産内訳
先ほどの売上利益の源泉となっている運用資産の内訳を見ていきましょう。
ブラックロックが取り扱っている商品のうち、株式が占める比率は51%と非常に大きなウェイトを占めています。
その次に大きいのが債権関連で31%です。
地域別の運用額を見てみるとアメリカが70%、欧州中東地域が25%となっており、母国市場のアメリカが圧倒的に大きいことが分かります。
そもそもの家計の金融資産に占める株式や債権の比率が欧米はアジアと比べても高い傾向にあることも影響していそうです。
この7兆ドル、日本円で700兆円以上の資産から信託報酬という形で収益が上がるわけですから、私の感覚的にはどんなサブスクよりも優秀なサブスクビジネスだと感じています。
キャッシュフロー推移
それでは次に2009年以降のキャッシュフローの推移を見ていきましょう。
このグラフは青色が営業キャッシュフロー、オレンジがフリーキャッシュフロー、灰色の折れ線が売上高フリーキャッシュフロー率を表しています。
このグラフを見て頂いてお分かり頂けるように営業キャッシュフローがほぼほぼフリーキャッシュフローになっています。
大きな投資が必要ないなかで毎年安定的にキャッシュが回るというのは非常に魅力的だと思います。
EPS(1株当たり利益)・株主還元
では、次にEPSと株主還元の推移を見ていきましょう。
左側のグラフは青色がEPSとオレンジが配当、灰色が総還元性向を表しています。EPSとは1株当たり利益のことです。
このグラフを見るとEPSも他の指標と同様に堅調に右肩上がりとなっています。
オレンジ色の配当額もキレイな右肩上がりになっていますね。総還元性向も安定的に50以下なので安心できる水準です。
右側のグラフは青色が株数の推移、オレンジが増配率、灰色が株数の成長率を表しています。
株数は2009年から2010年に掛けて流石に増資しましたが、それ以降は毎年安定的に自社株買いを実施しています。
また安定的なEPS成長を背景に増配にも積極的で増配率は毎年10%を超えています。
配当利回り自体は高配当というわけではありませんが、これだけ高い増配率を維持しているので、取得株価に対する実質配当利回りはかなり高配当になることを想定しています。
では次に、このような業績推移だったブラックロックの株価がS&P500と比較してどのように推移したかを見ていきましょう。
S&P500とブラックロック社の株価推移・投資収益実績
このグラフは2000年以降のブラックロックとS&P500の株価の推移となります。
水色の折れ線がブラックロック、紫がSP500です。
このグラフを見てわかる通りブラックロックはこの20年間はSP500を圧倒してきました。
2000年に20ドル前後だった株価が今や600ドルなので、僅か20年で株価は30倍になったということです。本当に特にリーマンショックから2018年までの成長が圧倒的でした。
ただし、景気動向には非常に敏感です。
赤枠で囲っている箇所はリーマンショックの時期ですが、この時はS&P500以上に大きな落ち込みを見せました。下落幅としては56%を超えていました。
またオレンジ色の枠で囲っている箇所は2018年以降の株価の推移ですが、2018年の高値から米中貿易問題による不透明感の影響もあり、相場自体は右肩上がりでしたが、ブラックロックの株価は軟調に推移していました。
このように景気に非常に敏感な銘柄で株価の動きが非常に大きいことがこのグラフからも分かると思います。
では次に2010年からのリターンをS&P500に連動するETFであるVOOと比較しながら見てみましょう。
直近10年のブラックロックの年率平均リターンは約11.35%とS&P500の12.38%よりも約1ポイント劣後する数値となっています。
特に2018年から2019年に掛けての株価低迷が大きく影響してしまいました。
先ほど、株価が大きく動くとお話ししましたが、標準偏差を見てみるとS&P500が14%なのに対して、ブラックロックは24%と10ポイントも高い数値になっています。
また、下落幅に対する投資効率を示すソルティノレシオもS&P500に大きく劣後しており、この10年間のリターン・安定感はS&P500に劣っていた言えると思います。
下落耐性については、右側のグラフを見ても分かるとおり、常にS&P500よりも大きな下落をしているので、値動きが大きすぎる銘柄が嫌な人には向いていない銘柄だと思います。
投資判断(個別銘柄分析10基準)
それでは最後に定性的になってしまいますが、私が個別株の投資判断をする際に絶対に検討している10個の項目を見ていきたいと思います。
①先ず一つ目が、「価格に影響が出るブランド力はあるか」ですが、これは○としています。マーケットにおける圧倒的なシェアとブランド力を背景にある程度は思い通りの価格設定ができています。
②次に「顧客が他社品に切り替えることによる追加的なコストはあるか」という点については◯としています。
ETFや投資信託の乗換は売買タイミングによる値差や売買手数料、乗り換えた後にブラックロック社が値差がするかもしれないという心理的な縛りが効いているビジネスだと考えています。
③次に「周りみんなが使っていることが選ばれている理由か」というネットワーク外部性の評価は○としています。同じようなETF・投資信託なら純資産が大きい方や運用会社への信頼度が最終的な意思決定に大きな影響を与えるからです。
④4点目が「インフレを価格に添加可能か」ですが、これも◯としました。株式自体がインフレに強く、資産額が増えるほど手数料収入も増える図式になっています。
⑤5点目の割安性ですが、PER的にはそこまで割高とは言えないので△としました。
⑥次に「売上・利益・EPSが右肩上がりか」という点は◯としました。業績振り返りで見た通りですね。
⑦次に「営業利益率は高いか」は○です。圧倒的なブランド力や低コスト体質を背景とした高収益体質を維持しています。
⑧8点目の「ROE・ROA」については△としていますが、金融業としては悪くないレベルだと考えています。
⑨9点目が長期負債は適正な水準かという点についてですが、これは◯としています。
⑩最後が「主力事業のマーケット自体の成長性」ですが、これは◯としました。世界的な資産運用へのニーズは今後も増えていくことが想定されています。
米国株ブラックロック社への銘柄分析・投資判断
以上、ここまででブラックロックの銘柄分析をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
最後にブラックロック社への投資の魅力と懸念点という形でまとめると、魅力としてはその圧倒的なブランド力と業界TOPのシェア、運用額から生み出される信託報酬という安定的な収益源が挙げられます。
私はどんなサブスクよりも素晴らしいシステムだと考えています。
また市場自体も成長していくので、EPSも堅調に推移することが期待でき、株価以外の面でもしっかりと安定的・継続的な株主還元も投資メリットの一つだと言えます。
一方で懸念点としては、シクリカル銘柄らしい豪快な値動きが挙げられます。株価変動が大きい銘柄は苦手という人には向いていない銘柄だと思います。
また、金融危機など、マーケットが弱気な時は市場平均以上に大きく下落してしまうという点もデメリットだと思います。
以上、ブラックロック社の銘柄分析をしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
過去10年のリターンはS&P500に若干劣後していましたし、ボラティリティも非常に高いことから、あまり万人向けの銘柄ではないかもしれませんが、個人的にはそのビジネスの仕組みや市場の安定性の観点からお気に入りの保有銘柄の一つです。
私は今後も相対的に割安になったタイミングを見て投資していきたいと考えています。
皆さんはブラックロックをどのように評価しているでしょうか。
ぜひ皆さんの投資判断をコメント欄でお聞かせいただければと思います。
今後も私が実際に投資をしている個別銘柄を中心に銘柄分析記事を出していきますので、今回の動画が良かったと思われる方は、ぜひTwitterやYouTubeでフォローよろしくお願いします。
それでは皆さん素敵な1日をお過ごしください。
□■↓YouTubeでは動画で解説しています↓■□